回想
9月11日(日) 晴れ 気温 30.7度
秋の到来かと思いきや数日前から強い日差しとアスファルトからの照りにより大粒の汗が滴り落ちている。 あの辺りを治療中のスパイクは朝晩と患部に塗り薬を付ける程度の処置で済んだものの、犬ならではの習性ですぐ舐めようとするのが厄介でしかたない。病院から借りたエリザベスカラーを首に巻き付けてみると意外にも庭や階段の上り下り、部屋の移動に差し支えるような有様で、それならと『紙オムツ』に切り替えるが『噛むオムツ』と勘違いし噛みちぎるアンポンタンぶり、であればと犬用のズボンを履かせてみれば庭先にてそのまましゃがみ込みドボンとする。いっそのこと治療薬を頭にも塗ってやろうかという気分に駆られた。
9月12日(月) 晴れ 気温32.9度
今夜は6年ぶりに満月に恵まれた何じゃらの名月のようだが、夜空を眺めてもさほど感動する月でもないように思える。幼少時分は月の中でうさぎが餅つきをしていると純粋に信じていたものだが、騒がれる今日の月より感動していた想い出がある。未だあの頃の感動を越える月を見たことが無い。満月の明かりに照らされた中庭で遊び呆けているオマケ軍団を縁側で眺めながら3ヶ月ぶりの酒を楽しんでいる。たぶん数年もすれば、この日の月明かりより感動する月光を見たことが無いとほざいていることだろう。
想い出とはそんなものだと思っている。
9月15日(木) 晴れ 気温33度
激安ショップで買ってきた大量のオモチャ道具に反応し、我が家の廊下ではオマケ軍団の運動会が始まっている‥。
――知らなかったのか興味が無かっただけなのか、紋次郞は以前から甘えるばかりで無邪気に遊ぼうとはしないネコだった。せいぜい部屋中を駆け巡ったり転げ回ったりする程度で、オモチャを買って来ても無関心にも見向きすらしてくれない仔猫だった記憶がある。そのうち遊ぶだろうとほって置けばスパイクが噛み砕き、オモチャ生命は一瞬に幕を閉じるばかり、かろうじて遊ぶといえば縫いぐるみを抱きしめるくらいだったろう。始めて飼ったネコがそうだったから、それが当たり前のものだと思い込んでしまっていたが、「はなこ」が我が家に来てから、その考えもルールも裏返されたようだ。
スパイクと紋次郞には元々縄張りと言うか定位置とかがあって、互いにそこには立ちいらないという無言のルールが見え隠れしていたものだったが、それも一匹の小さな三毛に難無く踏む潰され今では無意味になっている。犬とネコの共存する中でも先住犬スパイクは格差を付けていた時期もあったが、毎日のように「はなこ」に踏みつぶされているうちに自信を格下げしていった様子でもある。
それが彼らにとって良かったのか悪かったのかその辺りは分からない。ただスパイクがネコに対して丸くなった事実と紋次郞がひとり遊びに没頭するようになったことは喜ばしいことで、「はなこ」に感謝するところである。
どちらかというと我が家の場合は目下を見て学んでいくことが多いように思える。結局、彼らが私から学ぶことはひとつもないという答えになるが、そうなのだからしかたないね。
遊び盛りの「はなこ」は目に止まるものすべてをオモチャのように扱い、その光景は側にいる者まで魅了する勢いがある。足を止め一点のものに集中するとやんわり腰を落としそれだけに目を向ける。低い姿勢を保ったまま、やがて後方へと身を引きバネを溜め込むように丸く収縮する。次にリズムをとっているのか左右に身を揺さぶり、もう一段低く構え直す。距離とタイミングを見計ると、瞬時バネを解放するように地を蹴り込み猛烈な勢いで目標地点まで飛んでいく。
ただし、狙い所がいつも普通でない気がするのだが‥。
ブログネタ: ひんやりグッズ、使ってみたいのは?