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捨て猫

捨て猫

平成22年6月16日(水) どしゃ降り雨

朝から雨が降りつづいている。四月の下旬、葬儀場にある倉庫の片隅にて身勝手な人間の犠牲となった数匹の仔猫たちが、ダンボールに入れられ捨てられた。幸いにも可愛らしい仔猫たちは小さな命を落とす前に拾い手が見つかり順に貰われていった。
しかし、その中の一匹だけは何時まで経ってもダンボールから出ることがなかった。

ある日、保健所の職員がその仔猫を回収しにやって来た。猫の場合、捕獲より数日ほどで処分されてしまう。これが現実である。
この仔猫が拾われることもなく取り残された理由もわからないでもない。その辺で見かけるような可愛いらしい姿の猫ではなかったからである。頬はげっそりと削げ落ち、その痩せすぎた顔から浮き出るように見える眼球、まるで仔猫とは思えない鋭い目つきをした黒い八割れである。不気味にも折れ曲がったシッポが醜さを強調していた。

私がこの仔猫と出会ったのは六月も半ばの雨の降る朝である。もともと猫というものには何の興味もなかったというか、むしろ嫌っていた方だと言ってもいい。ほんの数年前なら私自身も見向きすらしなかった人間である。

何故なのだろう‥
この醜い姿を目の当たりにした瞬間、引き取ろうと強く思う感情が芽生えた。それがどうしてなのか今もわからない。ひとつばかり理屈をこねてみれば、私が引き取らなければ貰い手など現れないだろうという情に走ったか、自分の人生の何らかの一部と重なっていたからなのかのどちらかである。

命とは人にだけ与えられたものではない。わたしには命の重みを語るほどの生き方をしてきた憶えはないが、大切だということぐらいは知っている。身勝手な人間の都合により何度も辛い思いをした中で、人間という生きものを信じるには永い時間と深い愛情が必要な猫である。


けれども、残りものに福なのかもしれない。オマエが一番幸せになれる可能性は十分にある環境だ。
たくさん飯を食って、早く元気で立派な家族の一員となれ。

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